『おもいで草々』 6話

【郷里】
私の古里は、岐阜の池田山(揖斐郡)の父の郷里である。
祖父、河村静馬(目呂二の実父)は生真面目な堅人だったそうである。
村長を務めた折は、チューエンと呼ばれていた馬で役場にでかけていた。
長兄、父(目呂二)、三男の三人が、大垣城跡で撮った写真が残っている。
牛は専ら田畑の使役に使われていたらしい。
長兄夫婦は祖父の血をひいた上にやさしさがトッピングされていた。

郷里の家を訪ねるときは、家人に簡単な挨拶をすませ、まず佛間に行き、手土産を置き蝋燭に明りを点し線香をたて、御先祖様に御挨拶をすませるのがセレモニーであった。
それが終わらないと、次の行動に移れない。
何はともあれ御先祖様への御挨拶が最初の仕事で、もろもろのおしゃべりや子供達の遊びも始まらなかった。
父は特別仏教信者とは思えなかったが、今日があるのは、神様と御先祖様のおかげであると、時あるごとに行動で示してくれた。
郷里の佛檀(ブツダン)は襖一枚半もある大きさであるが、今の東京のマンションでは仏間をもつゆとりもないので、リビングの一隅に1m程の仏壇を置いている。
今は従兄の代になっているが、先ず御仏壇に御挨拶し御先祖を敬い、今日を有難く報告することを申しつぎたい。
(K.ソロ)

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