目呂二を語るに忘れてはならないのが、妻 すの子の存在である。
すの子は、1899年(明治32年)東京千代田区神田に生まれ、長野県伊那郡宮田村の祖父母の養女となって育てられた。
東京女子美術専門学校(現 女子美術学校)卒業後、レート化粧品本舗に入社。
ここで目呂二と出会い、やがて結婚。目呂二34歳、すの子21歳の時であった。
実の名は「はま子」であるが、「雪乃」というペンネームを用いていた頃、目呂二がこれを英語読みして 「雪」 =「スノー子」と呼ぶうちに、いつしかこれが本名になっていたという。
目呂二に輪をかけた猫好きで、本人も絵や造形をよくし、目呂二の造る猫人形の色艶やかな彩色は、すの子の手に負うところが大きかったようである。
目呂二とともに颯爽と自転車を駆り、ユニークな交遊を繰り広げていたすの子は、当時の“モガ”の代表格として、しばしばメディアにも紹介されている。